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「ただいまっ」
本日の部活が終わり、名雪が家に帰ってきた。
「おぉ、名雪、待っていたぞ」と、祐一が出迎えてくれた。
「珍しいね、どうしたの?」
「実はな、秋子さんの帰りが遅くなるようなんだ、
夕食は名雪に任せるってさ。」
「そうなんだ…、うん、わかった、待っててね。」
「いや、別に外食でもかまわないぞ。
部活で疲れてるんじゃないのか?」
「ううん。別にいいよ。」
(祐一のために作りたいんだよっ)と、名雪は心の中で付け加えた。

「ごちそうさまっ」
「うまかったぞ、名雪。」
「そうっ?」
「ま、秋子さんほどではないが、な。」
「うー、お母さんの料理と比較しないでよ…」
「それより、お風呂に先に入れよ。後かたづけぐらい、俺がしとくぞ。」
「うーん、悪いよ…、いいよ、わたしがやるよ。」
「いいって。ここまでコキ使って、明日寝坊されたらたまらないからな。」
「うー…」
文句は言いたいが、反論はできない。
「じゃあ、わたし先に入るから後よろしくね。」
「わかった。安心して入ってきてくれ。」
名雪は、着替えを取りに二階に上がった。

「ふぅ、さっぱりした。」
お風呂から上がると、祐一は居間でテレビを見ていた。
「お、名雪、今出たか。お前が風呂に入ってるあいだに秋子さんから電話があって、
遅くなりそうだから、先に休んでてかまわないってさ。」
「そうなんだ…」
(お母さん、疲れてるだろうから、明日は早く起きて朝食の用意ぐらいはわたしがやらないとな…
でも、朝起きられるかな…)
なんて考えていると、祐一が、
「二人きりだな。」
「えっ」
(そっか、お母さんが退院して以来、久しぶりの二人きり…)
「いや、深い意味は無いんだけど…」
「えっ、あっ…」
「そんなに露骨に表現されると、こっちが困る。」
(いつのまにか、わたしの顔はまっかっかになっていたみたい…
そっか、二人きりなんだ…)
名雪は祐一の隣のソファーに座り、祐一の肩に寄りかかった。
「どわっ、どうした、名雪。」
驚く祐一。
「たまには、甘えたいよ…」
名雪は、照れながら言っているので、声が震えているのが自分でもわかっていた。
「積極的だな。」
祐一の声はいつもどおりだが、顔は紅潮していた。
「だって、祐一のことが好きなんだもん。」
「そう、はっきり言われると、こっちが困るぞ。」
と祐一は顔をそむけてしまった。

今度は祐一の正面から、抱きついた。
ぴと…
「あったかい…」
あきらかに祐一は照れている。
(どうやら、今に限っては、わたしがペースを握ってるみたい…)
「ね、祐一、わたしのこと好き?」
「なんだよ、突然。」
「好きかどうか聞いてるの。」
「…出会ってこのかた、嫌いだと思ったことはないぞ。」
「うー、好きかどうか聞いてるんだよ。どうなの?」
「わかってることを聞くんじゃない。」
「わかってても、聞きたいんだよっ。」

「わたし、自分に自信無いから…」
「全然女の子らしくないし、落ち着きもないし、朝は弱くて迷惑ばっかりかけてるし…」
「不安なんだよ…」
「そんなことはないぞ、今日だって、夕飯つくってもらったし、時々つくってくれるお弁当だってとても美味いぞ。」
「本当!?」
「あれなら780円で売れる。」
「売る気はないよっ」
「まぁ、そのなんだ…、いつもスマンな。」
と、額に軽くキスされた。
「ありがと…」
「好きだぞ、名雪。」
と顔を寄せてきたので、わたしは目を閉じた。
唇が触れ合う。

いつもより長いキスの後、わたしは祐一にがばっと抱きついた。
「幸せっ」
祐一の心臓の音が聞こえる。照れてるんだなぁ…
あったかい…


… …
「くー」

「名雪、名雪っ。」
揺すぶっても起きない。
「おいおい、これからって時に…、まぁ、いいか。」
「てゆうか、俺も今日は疲れた…
名雪にペースを奪われるとは、まだまだ俺も未熟だな。」
「あったかいな…」


… …

「あら、まだ電気がついてるわね。」
帰宅した秋子は、居間の明かりに気づき、向かっていった。
「あらあら…、仲の良いこと。」と右手を顔に当てる。

そして、祐一が目を覚ます。
「あ、秋子さん今お帰りですか…、だぁっっっ!」
(そうか、俺あのまま寝ちまったんだ…)

「いや、あの、これは、ですねぇっ…」
「いいんですよ。知ってましたから。」
「とりあえず、名雪を部屋にはこんでもらえますか。」
祐一はボケッとしている。
(いや、ま、バレてるかなーとは思ったけど、面と向かって言われると…)
「それとも、いっしょに寝ますか?」
「いえっっ!、遠慮しときます!」
名雪をおぶり、あわてて居間を出る祐一。
「ふふっ。」と微笑む秋子。

名雪を部屋につれていき、ベットに寝かせた。
(今日は疲れた…)
(こうなったのも名雪のせいだ!そうに決まってる!)
(こうしてやる…)

キュキュキュ…

(フフフ…)


翌日、教室。
「名雪、おはよう。」
「…おはよう、香理。」
「あら、名雪、風邪?」
「う、うん…」
曖昧な返事をしながら、名雪は祐一の方をちらりと見た。
視線が合った祐一は、
「まったく、ちゃんとベットで寝ないからだ。」
と言いながら、祐一は座席に向かった。
「祐一のせいだよー」
「…祐一、ちゃんと避妊はしろよ。」と北川。
「ちがわいっ!」
「金八先生の15の母、あれはTVだからよかったけど、現実はツライからな。」
「人の話を聞け…」
「あ、石橋が来たぞ。」

「あー、みんな、席に着けい。」





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